睡眠薬は使い方を間違えると怖い薬になる!
不眠症は非常に有病率が高く、成人の30%以上には何らかの不眠症状があると言われています。
とろろで、もし不眠症と診断されたらおそらく睡眠薬を処方されると思いますが、睡眠薬を飲むと不眠症が治るとは思っていませんか?
確かに不眠症の治療で主に使われるのは睡眠薬ではありますが、睡眠薬による薬物療法の一番の目的は"日中の機能改善"であり、不眠自体を根絶するという目的で使用されるわけではありません。
それもそのはずで、不眠症は"日中の機能障害"がなければ不眠症とは診断されないのです。
つまり、いくら自分が十分に寝れていないと感じていたとしても、日常生活に何も支障をきたすことがなければ不眠症ではないと判断されてしまうのです。
もし5時間くらいしか眠れていなくても、夜中に何回目が覚めても日中の活動に支障を来さなければ不眠症ではないので睡眠薬を服用する必要はなくなります。
ところが、日常生活に問題がなかったとしても、眠れないとういこと自体がストレスになり、それがウツを引き起こすことも考えらます。
睡眠薬で睡眠をとることは出来ても、ウツを治療することは出来ません。
また、睡眠時間が短いと様々な病気にかかったり"早死に"するリスクが高くなるという研究結果が出ています。
だからといって睡眠薬を使わない方が良いというわけではなく、全体的な治療のバランスを考えて使用するべきなのです。
日本で処方されている睡眠薬の割合は?
ところで、日本ではどれくらいの人が睡眠薬を服用しているかご存知ですか?
睡眠薬の処方率は増加傾向にあり、不眠症で悩んでいる人が増えるのと同時に睡眠薬の処方率も増加しています。
その背景には高齢化社会による高齢者の不眠が増加していることも関連していますが、若い人の不眠症も増加しているのです。
睡眠薬の1日処方量を調査した結果では、成人では約20人に1人の割合で睡眠薬を服用しているということが分かっています。
また、睡眠薬の処方率が増加しているのは睡眠薬を複数併用している不眠症患者が多いことも原因であると言われています。
睡眠薬の併用は、治療の過程で短時間作用型の睡眠薬から長時間作用型の睡眠薬へと変更するときに併用されたりすることがあります。
しかし、特に高齢者では睡眠薬の多剤併用により副作用が出やすくなったり、翌日に眠気が持ち越されて転倒や交通事故を起こすきっかけにもなるので注意しなければなりません。
ちなみに、2009年の調査では睡眠薬を服用している患者の約20%が2剤を併用しており、約6%が3剤以上を併用しているという結果が出ています。
なお、平成26年度から1回の処方で"3種類以上の睡眠薬を処方した場合は処方せん料が減額される"ということになっていますので3剤以上の併用者は減少していると考えられます。
効果持続時間による睡眠薬の種類
現在使用されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系が主流であり、これらは脳内の睡眠や覚醒に関連する神経系に選択的に作用することで自然に近い眠りをもたらしてくれる作用があります。
また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は作用時間によっていくつかのタイプに分けられます。
ちなみに、以下で出てくる「消失半減期」とは、血液の中にある睡眠薬の濃度が最も高い状態から半分になるまでの時間のことです。
超短時間作用型
入眠障害に有効であり、半減期が2〜4時間であるため翌朝への持ち越し効果が少ないのが特徴です。
長短時間作用型の睡眠薬は健忘が現れやすいと言われているため、少量から開始することが望ましいとされています。
短時間作用型
半減期は7〜10時間くらいで、入眠障害に有効です。
服用後30分以内に効果が現れ始め、超短時間作用型より睡眠の効果を持続させることが出来ます。
翌朝への持ち越し効果は少ないとされていますが、健忘が現れることがあります。
健忘というのは、朝起きたときに、前日に自分が何をどれだけやっていたことか忘れている症状です。
中間作用型
半減期は12時間〜約1日で、中途覚醒や早朝覚醒の不眠症に有効とされています。
わずかに持ち越し効果があるとされています。
長時間作用型
長時間作用型は半減期が30時間以上もあり、中途覚醒や早朝覚醒に有効ですが、日中の眠気やふらつき、脱力感等が現れることがあるので注意が必要です。
一般的に作用時間が長い睡眠薬ほど持ち越し効果による眠気やふらつき、倦怠感、頭重感が出やすいのが特徴で、高齢者に投与する際には投与量に注意する必要があります。
>>睡眠薬に頼らないぐっすり眠る方法とは!?おすすめの睡眠サプリ特集<<
市販の睡眠薬は不眠症には使えない
ドラッグストアやネットの通販サイトで睡眠薬が販売されているのを見かけたことはありませんか?
睡眠薬には病院で処方されるもの以外にも市販されている睡眠薬もあるのです。
しかし、勘違いしている人も多いのですが市販の睡眠薬は病院で処方される睡眠薬とは全く異なる性質のものなのです。
どういうことかというと、例えば"風邪薬を服用したら眠くなってきた"という経験はないでしょうか?
実は、風邪薬等で眠くなるのは「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という成分によるもので、この成分は風邪薬以外にも鼻炎薬等にも含まれています。
この成分には眠気をもたらす作用があるのですが、市販の睡眠薬はその原理を利用したものであり、正確に言うと睡眠薬ではなく、"睡眠改善薬"というもので、箱にもそのように記載がされています。
また、ある睡眠改善薬の添付文書をよく見てみると、効能・効果には"一時的な不眠"に使用するようにとの記載があり、さらに使用上の注意には「不眠症には使用しないこと」ということがしっかりと明記されています。
つまり、市販の睡眠薬は不眠症には使えないというよりは、使ってはいけないということなのです!
また、市販薬なので作用は弱いのですが、それでも依存性があったり副作用が出ることもあるので、長期間飲み続けるものではありません。
いくら気軽に購入することが出来るからといっても、薬である以上は安易に使用することはおすすめ出来ません。
それだけではなく、市販の睡眠薬の場合は飲んですぐに眠れるようになるわけではないので、ついつい眠れるまでの間にスマホやパソコン、テレビの画面を見てしまい、逆に目が冴えてしまって眠れなくなってしまうということもあるのです。
そうすると、どんどん不眠症をこじらせてしまうことになるので逆に不眠を悪化させてしまうこともあります。
市販薬を使用するときは、そういったことも踏まえて使用することを検討しましょう。
睡眠薬は怖い!?
「睡眠薬を飲むのは怖い・・・」
このように感じている人は少なくはないのではないでしょうか?
その理由の1つに依存性が高いということが挙げられます。
実際に睡眠薬には依存性があり、不眠が改善されても睡眠薬なしでは不安になって眠れなくなってしまうことがあります。
また、睡眠薬で眠ることに慣れてしまうと、脳が薬に慣れてしまい薬が効きにくくなってくることがあります。
そうすると、今使っている睡眠薬よりももっと作用が強い睡眠薬に切り替えなければ眠れなくなってしまいます。
さらに、睡眠薬を飲んでグッスリ眠れるようになればそのときの快感が忘れられなくなり、睡眠薬が手放せなくなるのです。
これが睡眠薬が怖いと思われている原因の1つです。
睡眠薬には副作用がある
そして、もう1つの理由は「副作用」があることです。
睡眠薬には「持ち越し効果」、「健忘」、「呼吸抑制」等の副作用が現れることがあります。
また、気を付けなければならないのが、睡眠薬による直接の副作用ではなく翌日にまで効果が及ぶことによって交通事故等を引き起こすことがあるのです。
睡眠薬自体には死亡につながるような副作用が出ることはほとんどありませんが、間接的に死亡することはあり得るのです。
このようなことから、睡眠薬を服用するときは医師の指導に従って正しく服用するようにしましょう。
睡眠の質を改善するには睡眠薬よりもサプリの方が効果的!?
もし、「朝まで一度も起きずにグッスリ眠りたい」、「無理やりではなく自然な眠りにつきたい」と考えているのであれば、睡眠薬よりもサプリメントを活用する方が良いかもしれません。
冒頭でも説明したとおり、睡眠薬を使用する第一の目的は睡眠の質を高めることではなく、日常生活を改善することです。
確かに睡眠薬を使えば"強制的"に眠れるようにはなりますが、それは本来の睡眠ではありません。
それよりも、もっと根本的なところから睡眠の質を高めるべきではないでしょうか?
そんなときはサプリメントを使用するのもひとつの方法なのです。
サプリはあくまでも補助的なものであると認識されていることもありますが、アメリカでは医療費が日本と比べて高いこともありサプリメントがとても人気があります。
実際に、海外では不眠に効果のあるサプリメントがたくさん販売されています。
また、サプリメントは不眠の原因にもなる現代人に不足しがちな栄養素も補給することが出来るので、体質から眠れる体に変えていく事が出来るのです。
依存税も副作用がないのもサプリメントの良いところです。
ただし、サプリメントは睡眠薬のように飲んですぐに眠れるというものではないので、ひどい不眠症の場合は睡眠薬を処方してもらう方が良い場合もあります。
どちらが良いか悪いかというわけではありませんが、症状や状況に応じて使い分けると良いでしょう。