知っておきたい睡眠薬の副作用とは!?
副作用のない薬があれば一番良いのですが、残念ながら副作用が出ない医薬品は存在しておらず、すべての薬には必ず副作用が起こる可能性があります。
もちろん睡眠薬も例外ではなく、いくら適切に用法・用量を守っていたとしても副作用が起こることはあるのです。
特に睡眠薬は生命に関わるような副作用を引き起こす可能性もあるため、十分に気を付けて服用する必要があります。
また、「市販の睡眠改善薬なら大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、市販薬であっても副作用は現れます。
「たくさん飲んだ方が眠れるだろう・・・」」と決められた用量を超えて服用すると、市販薬でも副作用が出る事も十分に考えられるのです。
それでは一体睡眠薬にはどのような副作用が現れる可能性があるのでしょうか?
もし睡眠薬を服用するのであれば知っておきたいですよね。
そこで、睡眠薬で現れやすい副作用についてご紹介したいと思います。
睡眠薬の副作用について
持ち越し効果
持ち越し効果とは、その名前の通り睡眠薬の作用が翌日に持ち越されてしまうという副作用です。
睡眠薬を飲んだ次の日に頭がボーッとしたり、身体がだるいというときは持ち越し効果による可能性が高いと考えられます。
一見たいしたことない副作用だと思われがちですが、朝から運転をしなければならないときや危険な仕事を行う場合は死亡事故につながることもあるので気を付けなければいけません。
持ち越し効果は作用時間が短い長短時間作用型や短時間作用型では現れることは少なく、中間作用型と長時間作用型で多くみられる副作用です。
高齢者ほど出やすく、持ち越し効果が強い場合は睡眠薬を減量するか作用時間が短いものに変更することがあります。
反跳性不眠
反跳性不眠というのは、睡眠薬の服用を突然中断した後に以前よりもっと強い不眠症が現れるという現象です。
超短時間作用型や短時間作用型に多い副作用だと言われていますが、非ベンゾジアゼピン系のゾルピデムやラメルテオンでは起こりにくいと言われています。
睡眠薬を急に中断してしまうと不眠が悪化する可能性があるので、中断する場合は時間をかけて徐々に減らしていく漸減法が必要になります。
睡眠薬で眠れるになったからと、突然中断するのはやめておきましょう。
睡眠薬のやめ方については、後ほどご紹介します。
記憶障害
睡眠薬を飲んだ後の記憶がなくなる「健忘」という副作用が現れることがあり、服用してから寝付くまでに起こった出来事や、睡眠途中に起こされたときの出来事等を朝起きたときに覚えていないという現象が起こります。
また、新しい情報が記憶できなくなるエピソード記憶の障害が起こることもあります。
催眠作用が強くて作用時間が短い睡眠薬で起こることが多く、特にアルコールと併用すると起こりやすい副作用です。
一時的な記憶障害であり、睡眠薬が体内から排出されれば解消されるので安心してください。
また、睡眠薬を服用した後に仕事や勉強をしてしまうと、せっかく覚えたことも翌日に忘れてしまうということがあるので気を付けましょう。
筋弛緩作用
もともと睡眠薬には体をリラックスさせるために筋肉を弛緩させる作用があり、筋弛緩作用の副作用が発生することがあります。
比較的作用時間が長い睡眠薬に多く現れることが多い副作用です。
筋肉が弛緩することでふらつきが多くなったり転びやすくなるのですが、特に高齢者は転倒して骨折をすることもあるので十分に注意する必要があります。
さらに、いびきのある不眠症では睡眠時無呼吸を悪化させることがあるのも特徴です。
また、非ベンゾジアゼピン系やメラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬は筋弛緩作用の副作用が少ないと言われています。
奇異反応
ごく希に睡眠薬の服用で奇異反応という異常行動が見られることもあります。
奇異反応はアルコールと併用したり、大量に服用した場合に特に高齢者に見られる副作用です。
奇異反応の症状は様々ですが、攻撃性が高まったり精神錯乱を引き起こしたりと錯乱状態となることがあります。
短時間作用型の副作用とアルコールの併用で多くみられると言われています。
依存
睡眠薬の依存症には「耐性」と「離脱症状」の2種類があります。
耐性というのは、睡眠薬を反復して服用することによって薬の効果が減少してしまうことで、睡眠薬以外でも起こる依存症です。
耐性が生じると今までと同じ用量では効果が現れず、もっと用量を増やさなくては眠れなくなってしまいます。
そしてさらに、増量した後の用量でも耐性が出来てしまい、さらに高用量が必要になってくる悪循環に陥るのです。
ただし、耐性はバルビツール系や非バルビツール系の睡眠薬ではよく現れることがあったのですが、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系には耐性が現れにくいと言われているので用法・用量を守っていればそれほど心配する必要はないかもしれません。
そして、離脱症状というのは医学用語では「SSRI中断症候群」と呼び、休薬するとめまい、発汗、吐き気、手の震え、耳鳴り等の禁断症状が出ることです。
ちなみに、先にご紹介した反跳性不眠も離脱症状の1つです。
ベンゾジアゼピン系では起こりやすいのですが、非ベンゾジアゼピン系やラメルテオンでは現れにくいのが特徴です。
催奇形成
妊娠中に睡眠薬を服用していると催奇形性という副作用が生じることがあります。
薬物による催奇形性は妊娠4週〜7週末までの中枢神経、心臓、消化器、獅子などの重要な臓器が発生・分化する時期と、妊娠8週から15週末までの口蓋の閉鎖や生殖器の分化が起こる時期は特に問題になることが多いと言われています。
また、16週以降でも胎児に悪影響を及ぼすことがあり、さらに母親が服用した薬で申請時に副作用が発生することもあるため、妊娠中の睡眠薬の服用には十分注意する必要があります。
妊娠中に睡眠薬を服用する場合は、必ず医師や専門家に相談するようにしましょう。
なお、最近では厚生労働省が管轄している「妊娠と薬情報センター」という相談窓口があるので、もし分からないことがあれば相談してみてください。
妊娠と薬情報センター
TEL:03-5494-7845
受付時間:平日 10:00〜12:00、13:00〜16:00
ホームページ(問い合わせ窓口):https://www.ncchd.go.jp/kusuri/contact.html
呼吸抑制
バルビツール系の睡眠薬は大量に服用すると呼吸抑制の副作用が生じ死に至ることから、自殺目的によく用いられていました、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系など、現在一般的に使用されている睡眠薬は適切な用法・用量を守っていれば呼吸抑制が発生することはあまりありません。
ただし、全くないというわけではないので、きちんと用法・用量は守るようにしましょう!
その他の重大な副作用
また、その他の重大な副作用として、マイスリーには「肝機能障害」、ハルシオンには「肺炎」、「アナフィラキシー様症状」、ユーロジンには「無顆粒球症」等が添付文書に記載されています。
いずれも重篤な副作用なので注意が必要です。
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睡眠薬で認知症になりやすくなる
副作用とは少し異なりますが、睡眠薬を服用すると認知症になりやすくなると言われているのですが実際にはどうなのでしょうか?
ちなみに長期服用により一時的に記憶力や判断力などの認知機能の低下がみられることはありますが、ほとんどの場合は休薬することで認知機能は回復します。
それでは認知症になるかどうかということですが、各国で睡眠薬と認知症についての様々な研究が行われていますが現在のところ答えが出ていないというのが実際のところです。
数年にわたる長期服用で認知症リスクが増加するという報告もあれば、リスクが上昇しなかったという報告もあり、今後も研究が続けられるでしょう。
睡眠薬をやめたい!睡眠薬のやめ方とは!?
睡眠薬を使って不眠が改善されて眠れるようになってきたらそろそろ睡眠薬をやめる時期です。
しかし、睡眠薬は急にやめると反跳性不眠や離脱症状を起こすことがあるので、徐々に薬を減らしていく必要があります。
睡眠薬を急にやめることは禁物なので、数週間かけてゆっくり減らしていきましょう。
減量方法としては、「漸減法」と「隔日法」の2種類があり、漸減法は超短時間作用型と短時間作用型、隔日法は中間作用型や長時間作用型のときに使用すると効果的です。
なお、やめるときは自己判断ではなく医師に相談してからどのようにして辞めていくのかを決めるようにしましょう。
ここで、一般的な減量方法を紹介したいと思います。
漸減法
漸減法は徐々に量を減らしていく方法で、半錠もしくは1/4に錠剤を分割して服用します。
不安な人は1/4ずつ減量していくと良いでしょう。
なお、複数の睡眠薬を併用している場合は、半減期が短いものから減量していくのが好ましいとされています。
そして、減量した用量のまま2週間服用を継続して様子を見ます。
その後、もし睡眠に問題がなければさらに1/4に分割して、2週間様子を見ます。
このように、段階的に徐々に減らしていく方法を漸減法と呼びます。
少し時間はかかりますが、睡眠薬をやめるときは"焦らずゆっくり"とやめることが原則になります。
また、もし薬を減らして眠れなくなったときは眠れたときの用量に戻せば良いだけなので、安心してください。
隔日法
隔日法は中間型や長時間作用型の睡眠薬を漸減法で一定量まで減量した後に、服用しない日を作ってからその服用しない日を徐々に増やしながら中止に持っていくという方法です。
もし、超短時間作用型や短時間作用型の漸減法に失敗した場合は、一度睡眠薬を中間作用型か長時間作用型に置き換えてから漸減法と隔日法でやめるという方法もあります。
いずれにしても時間をかけてやめていくということが必要になってくるのです。
最後に
副作用が出ない睡眠薬というのはなく、今後も現れることはないでしょう。
ただし、副作用は絶対に起こるというものではなく、きちんと用法や用量を守っていればそれほど心配する必要はありません。