不眠症に漢方薬は効くの!?東洋医学で不眠を解消!
不眠症患者が増加を続ける日本では、睡眠薬の処方割合も年々増加しているのが現状です。
不眠は主観的な症状であり、いくら他の人が「お前は不眠症だ」と言っても、本人が睡眠に満足しているのであれば不眠症とは判断されません。
また逆に、いくら他人が「よく寝ている」と言っても、本人が満足できる睡眠がとれていなく、日中の生活に支障を来している場合は不眠症と診断されます。
不眠症になるには様々な要因があり、その要因を解消することで不眠が治ることもよくあります。
例えば、ストレスや不安が原因で不眠になっている人は、その不安やストレスがなくなった途端に眠れるようになるということもよくあるのです。
ところで、不眠症を治す薬といえば何を思い浮かべるでしょうか?
おそらくほとんどの人がベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の一般的な睡眠薬を思い浮かべると思います。
私たちが通常使用する睡眠薬は"西洋医学"のものであり、直接的に睡眠を誘発する働きがあるものです。
しかし、西洋医学があれば"東洋医学"もあり、東洋医学では症状に応じて眠れない原因を治療します。
現在日本で行われている治療は西洋医学が主流であり、例えば病気になったときは病院に行って診断してもらって、その病気を治療する薬をもらいますよね。
おそらく、お腹が痛くて食べ過ぎと診断されればその症状に効く胃腸薬を処方されるでしょう。
このように、病気の原因を明らかにした上でその病気に対しての治療を行う"対症療法"が西洋医学の考え方なのです。
ちなみに、全世界の先進国で行われているのはほとんどが西洋医学だと言われています。
それに対して、東洋医学は"体質から改善する"という考え方なので、根本からその病気にならないように自己治癒力を引き出すことを目的とした治療なのです。
東洋医学と言うとあまり効き慣れない人もいるかもしれませんが、"漢方"ならほとんどの人が聞いたことがあるのではないでしょうか?
最近は漢方薬を飲んでいる人も増えてきているみたいですね。
ちなみに東洋医学には漢方以外にも、針と灸で治療を行う鍼灸治療、ツボ押し等で治療を行う按摩、薬膳療法等があります。
不眠症には東洋医学と西洋医学のどっちが効果的!?
それでは、西洋医学と東洋医学のどちらが優れているかというところが気になりますが、もちろんどちらかが優れていてどちらかが劣っているということはありません。
私たちの認識では、西洋医学の方が病気に効くという潜在的な意識があるかもしれませんが、現在でも漢方(東洋医学)は医療の世界で使われており、特に最近では漢方の効果が見直されてきているようです。
西洋医学では治らなかった病気が、漢方を使った途端に治ったという事例も珍しくはないのです。
それは不眠症の治療においても同じで、西洋医学では不眠の症状に応じて睡眠導入剤等の睡眠薬が処方されるのですが、東洋医学ではそもそも不眠にならないように体質を改善するようにします。
また、漢方では不眠以外の症状も解消できるというところが西洋医学とは異なるところではないでしょうか?
不眠症を体質から改善していくという意味では、漢方はどちらかというと睡眠サプリに近いのかもしれません。
漢方や睡眠サプリには副作用がないというのも西洋医学とは異なる大きいメリットにはなるのではないでしょうか?
不眠症に効く漢方薬とは!?
不眠の原因は人それぞれ異なりますが、神経過敏で少しの物音でも起きてしまうタイプや、イライラして寝れないタイプ、精神的な不安があって寝れないタイプ等があります。
それでは不眠症に効く漢方薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
不眠に使用される漢方薬
不眠症に使用される漢方薬には症状に応じて様々なものが使用されます。
不眠症の治療に使用される代表的な漢方薬には以下のようなものがあります。
抑肝散(よくかんさん)
抑肝散は怒りっぽい症状のある人に使用される漢方薬で、イライラして寝つきが悪い人や興奮して夜に目が冴えてしまう人に対して使用されます。
漢方では「肝」は全身の気の流れをコントロールし、血液を巡らせたり、精神を安定させたりすると考えられており、肝の機能が低下すると気が乱れ精神的なイライラや神経の高ぶりを起こすと考えられています。
抑肝散自体に眠気を誘う効果はありませんが、イライラして眠れないときや、神経が高ぶって興奮して眠れないときはその不眠の原因自体を解消してくれるのです。
寝る前に飲むと質の高い睡眠をとることが出来るので、イライラが原因で不眠の方におすすめです。
安全性も高く、子どもでも使用することが出来ます。
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抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
抑肝散加陳皮半夏は抑肝散と同じようにイライラや神経の高ぶりを抑えてくれる効果があるのですが、さらに体力が低下している人や胃腸が弱い人に使用されます。
特に高齢者には抑肝散よりも抑肝散加陳皮半夏の方が処方されることが多いようです。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯には7種類の生薬が配合されており、その中にイライラを精神を安定させる成分が含まれています。
不安感が強くて不眠症になっている人に対して処方されることが多いようです。
香蘇散(こうそさん)
香蘇散は風邪薬として使用されることも多いのですが、不安感が強くて眠れない人にも処方されます。
ストレス性の病気によく使用され、不眠、抑うつ対しても処方されることがあります。
一般的には虚弱で胃腸が弱い人に処方され、風邪の引きはじめてのときに使用されることが多く、胃腸が弱く虚弱体質の人に向いており高齢や女性にも多く処方されるのが特徴です。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
比較的体力がある人の不眠症に使用され、イライラや不安、高血圧による不眠を解消するために使われます。
神経質な人や精神的な不安がある人に効果があります。
文字通り、竜骨(哺乳動物の化石)と牡蛎のカラが入っているのが特徴で、どちらにも不安やイライラを鎮める働きがあります。
帰脾湯(きひとう)
帰脾湯は虚弱体質に人に使用され、ストレスによる不眠や貧血に対して処方されます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯は帰脾湯に柴胡と山梔子加えたもので、精神不安の症状に効果があり、心身の疲れや熱感を伴う不眠に効果があります。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
酸棗仁湯は高齢者や体力が低下している人、心身が疲労している人の不眠に対して使用されます。
神経症、自律神経失調症による不眠の治療等にも使用され、疲れで中途覚醒してしまう人や熟睡感のない人に適しています。
神経が高ぶって熟睡できない人におすすめです。
甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)
女性や子供に使用されることが多く、興奮した心身を安定させる効果があります。
鎮静作用があり、神経過敏、ヒステリー、神経症等に対して使用されます。
また、女性によく使用され、不眠症やうつ、更年期障害の人によく処方されます。
甘い味なので、子供の夜泣きやひきつけにも使用されます。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲不振や倦怠感のある人に使用されます。
気力がなくて不眠症になっている人に適しています。
漢方で不眠は治る!?
一番に気になるポイントは、漢方薬を使って不眠症が治るのかということですが、治るかどうかはその人の体質や不眠症状によって異なります。
西洋医学の睡眠薬の方が効果がある人もいれば、漢方の方が効果があるという人もいるので、それぞれ試してみなければ分からないというのが実際のところなのです。
しかし、西洋医学の睡眠薬には無理やり睡眠を促す作用はありますが、不眠症の原因となっているものを解消することは出来ません。
"眠れないこと"自体がイライラや不安を引き起こして不眠になっているのであれば睡眠薬でも解消することは出来るかもしれませんが、それ以外の精神的な不安や抑うつ、心身の疲労等が原因なのであれば漢方薬でその原因を解消する方が良いのではないかと思います。
また、漢方薬の良いところは西洋医学の睡眠薬とは異なり、安全で副作用がないところです。
一般的に西洋医学の薬には副作用がつきもので、副作用の出ない薬というのはほとんどありません。
さらに、睡眠薬には即効性はありますが、その分効果が効きすぎて睡眠薬の作用が翌日まで残り、頭痛や眠気、さらには交通事故を引き起こしたりしてしまう「持ち越し効果」と呼ばれる作用が起こることがあります。
漢方薬にはそういった心配がないので、安心して飲むことが出来るのです。
漢方を飲んでから不眠への効果が現れるまでどれくらいかかる?
漢方薬には即効性がないと思っている人も多いかもしれませんが、それは種類によって異なります。
例えば、風邪に効く漢方薬は即効性があるので、西洋医学の薬と同じように飲んでからすぐに効き始めるものもあります。
しかし、睡眠薬に対して使用される漢方薬には即効性は期待できないかもしれません。
例えば、不眠症でよく使用される抑肝散は効果が現れるまでに少なくとも2週間はかかると言われており、人によっては数か月かかることもあるようです。
即効で不眠を治したいという人には漢方薬はあまり向いていないかもしれませんが、漢方薬は不眠の原因となるものを直接解消することが出来るので気長に効果が現れるを待ってみるのも良いのではないでしょうか?